おいしいなりもの」の条件に恵まれた地
秋田県湯沢市のJAこまち。秋田県内陸南部に位置し、東は奥羽山脈、西は出羽山脈、南は神室山系に囲まれ、雄物川の上流域及び成瀬川、皆瀬川、役内川などの各支流の豊かな水系に恵まれ、清流と肥沃な土地、昼夜の寒暖差など「おいしいなりもの」の条件が揃った、その農産物は県内外で高い評価を受けています。
トマト生産者の鈴木さんを訪ねて
そんなJAこまちエリアでトマトを生産している生産者は127世帯(2010年5月現在)。年間1600トンものトマトを生産するのだといいます。今回はJAこまちトマト部会で部会長を務める鈴木さんを訪ねました。
栽培のしやすさよりも味を重視
JAこまちで作付けされているトマト品種は桃太郎8(エイト)。「この品種がこの土地にあってるし、やはり一番おいしいんですよ」と語る鈴木さん。酸味や糖度の食味バランスが抜群の品種です。反面、病害虫に弱く、毎年おいしいトマトを安定してつくるには「腕がいる」品種なのだとか。現在、様々な品種改良が進み、おなじモモタロウ系のトマトでも、病害虫に強く、育てやすい品種がいくつも開発されていますが、「やっぱり、味がのらないんですよね」と評す鈴木さん。「トマトは、糖度だけじゃなくて酸味もバランスよくないと美味しくならないんですよ。新しく開発された品種は、確かに作りやすいんですが、どうも酸味ののりが悪くて、味がぼけるんですよ」と語ります。更に「やっぱり、美味しいものを作らないと、長続きはしないです。みなさん、こまちのトマトはおいしいからって言ってくれてるのに、それを裏切ることは出来ないですから」と、栽培のしやすさよりも味を重視した桃太郎8の作付けを貫いています。
酵素栽培で生命力あふれるトマトの味
「本当はね、ちょっと眉唾ものだったんです」と語る鈴木さん。JAこまちでは酵素栽培に取り組んでいますが導入当初はその効果に半信半疑だったと言います。しかし実際に酵素栽培に取り組んでみて「いや、正直、こんなに効果あるとは思いませんでした」と驚きを隠しません。どこがそんなに違うの?「とにかく樹が元気になるんですよ」そしてその結果、害虫や病気にも強いトマトとなり、化学肥料や農薬の低減にもつながるのだとか。「健康に育ちますから、トマトもよりおいしくなります」なるほど!自然条件と生産者の技術、土地にあった品種、そして酵素栽培。こまちのトマトのあふれるおいしさをぜひ、お試しください。
きゅうり生産者の伊藤さんを訪ねて
鈴木さんの畑を後にし、続いて訪れたのはきゅうり生産者の伊藤さん。伊藤さんにも酵素栽培についての感想を聞いてみると「樹の持ちが違いますね。なり疲れが出にくくなりますね」きゅうりにとっても実をつけて大きくするのは大きな負担。次々に実をつけていくと、どんどん樹の生命力が奪われますが、酵素栽培では樹が元気に長持ちするのだといいます。ちなみに、お尻の大きくなったきゅうりは「なり疲れ」の証なのだそう。つまり、種を大きく育てて、自身の子孫を残そうとするきゅうりの生理現象なのだそうで、「こうなると、もうその樹の寿命はおしまいなんです。酵素栽培だと、樹が元気な期間が長くなり、その分、生産性もあがるというメリットもあります」う~ん、恐るべし酵素栽培!
酵素栽培以外にも取り組み!
「土作りが一番肝心」そういいきる伊藤さん。JAこまちのきゅうり部会では、モミガラを主原料とした自家製堆肥や管内の畜産農家からの堆肥を使用した土づくりに取り組んでいます。肥料も環境に配慮した有機質肥料を主に、きゅうりの成長を見極めながらの栽培に取り組んでいます。
湿気が大好きなきゅうり、湿気が大嫌いなトマト
ところで余談ですが「トマトときゅうりの両方をやってる農家はまずいないんですよ」と伊藤さん。どうして?「きゅうりは湿気を好むんですが、トマトは嫌うんです。」つまり、双方の栽培管理は真逆。「やっぱり、あまりにも違うものをあれもこれもじゃ、いいものは作れません」そんな伊藤さん達が作ったこまちのきゅうり、がぶりと味わってみてください。